キャリアップ助成金(正社員コース)

 

 

1. この助成金の概要

契約社員やパートタイム労働者を、正社員(短時間正社員を含む)に転換した場合や、派遣労働者を直接雇用した場合に助成金が支給されます。

 

 2. 支給額

・有期 ⇒ 正規:1人当たり57万円

・無期 ⇒ 正規:1人当たり28.5万円

※正規には、いわゆる多様な正社員(職務・勤務限定正社員、短時間正社員)を含みます

※1年度1事業所あたりの上限は20名までです。

 

3. おもな支給要件

  •   就業規則に転換制度(手続き、要件、実施時期)の定められていること
  •   雇用された期間が通算して6ヵ月以上の非正規社員を転換させること
  •   正規雇用労働者として雇用することを約束して雇い入れた者でないこと
  •   正社員の求人に応募し、雇用された者のうち、有期雇用労働者等で雇用された者であって正規雇用労働者等として雇用することをことを約して雇い入れられた者ではないこと
  •   過去3年以内に、その事業所において正規雇用労働者等(委任や請負含む)として雇用されたことがないこと
  •   事業主又は取締役の3親等以内の親族以外の者であること
  •   短時間正社員に転換又は直接雇用された場合は、所定労働時間・日数を超えた勤務をしていないこと
  •   有期雇用労働者からの転換の場合、転換前に事業主で雇用されていた期間が3年以下であること
  •   正規雇用等へ転換した際、転換前の6ヶ月と転換後の6ヶ月の賃金(※賞与や諸手当を除く)を比較して、3%以上増額していること

4. ポイント

既に在籍している社員の転換だけでなくこれから新たに雇い入れる社員の転換も対象となります。ハローワーク限定などの採用ルートの縛りもありません。

非常に人気のある助成金ですが、申請のステップは少々複雑です。不支給要件が多いのもこの助成金の特長です。

令和5年度から、次の2点が改定になっていますので、注意が必要です。

 

①非正規社員の就業規則が完備されており、その就業規則のもとで6か月以上雇用されている労働者であること。

②正社員に昇格させる際には「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」を適用させる必要があり、そのことが就業規則に明記されていること。

自社で申請される際は、パンフレットをしっかり読み込み、管理表などによるスケジュール管理、抜け漏れがないようチェックリストの作成などが不可欠です。

  

キャリアアップ助成金の以下のようなケースで活用できます。

  •  当初から正社員や無期契約労働者として採用するのではなく、一旦、パートや期間工として採用し、契約期間中に、適正や能力の見極めを行った結果、一定レベル以上であれば、正社員(短時間正社員含む)に転換・登用します。当初から正社員として採用した場合の「解雇リスク」の回避が期待できます。ただし、当初、有期契約労働者として募集することで、応募件数が下がる可能性がありますので、注意が必要です。
  • 既存の契約社員やパート社員を正社員に転換・登用することで制度化することで、社員のモチベーションアップが期待できます。
  • 労働契約法の「無期転換ルール」への対応と併せて、キャリアアップ助成金(正社員化コース)を申請するパターンです。労働契約法では、5年超で転換申込権が発生しますが、3年以下+3%昇給が可能であれば、正社員化コースの申請が可能になります。
  • 派遣会社から派遣されている派遣スタッフを、直接雇用するケースでも活用できます。この場合、派遣会社に「紹介料」を支払うことが一般的ですが、キャリアアップ助成金(正社員化コース)を申請することで、実質的な費用負担を抑えることができます。なお、正社員として直接雇用する場合は、28.5万円が加算して支給されます